「あたりまえ」とは非常に難しいものです。自分にはあたりまえのことでも、相手にとっては非常識なことはたくさんあります。医療の世界には特にそういうことが多いと思います。
歯医者さんも例外ではなく、実際に治療を受けた人から「話が違う」とか「こんなはずではなかった」という話を聞くことがあります。
料金や治療時間に関するトラブルも患者さんの声の書き込みページなどに多く見られます。言い合いや誹謗中傷合戦になり収拾のつかない状態のページもあります。
患者さん側からは・・・
「事前にしっかり説明をしてくれなかった!」
「ずいぶん治療時間がかかったけど、事前に教えてくれればよかったのに!」
「ものを買うときには見積りをとるでしょう。大体どれくらいかかるのか見積ってくださいよ!」
これらは、患者さんから見て先生があたりまえのことをしてくれなかった、という不満ですね。
又 先生側からは・・・
「こんなにひどくなるまで放っておくなんて!」
「予防を考えずに治療をしても効果が半減だ!」
「しっかり説明したのに聞いていなかった!」
今度は、先生から見て患者さんがあたりまえのことをしてくれなかった、という不満です。
いかがでしょうか?このような患者さんと先生方の言い分。でんこみ.netが目指しているのは、このようなコミュニケーションではありません。では、それはどんな形なのでしょう?
それを考える為に先生にちょっと聞いてみました。 ・・・やはり、いろいろあるんですねぇ。
実際に聞いてみよう! 先生と管理人の座談会
このページは、管理人が何人もの先生方に実際に聞いた回答をまとめたものです。わかりやすくするために先生との対話形式にし、専門用語はわかりやすい言葉に言い替えました。
管理人:
では、先生、いろいろ聞きたいことがあるのですが、まずは治療時間のことを教えてください。「なかなか治療が終わらない」とか「通院回数が多い」という患者さんの声を聞くことがあります。書き込めるホームページの中でも多い苦情ですが。
先生:
なにからなにまで時間がかかるのは問題ですが、中には理由があって長引く場合もあります。たとえば、お口の中の衛生状態が悪く、歯を支えられないようなときは、まず歯ぐきの健康を回復させてから治療に入るような場合があります。
管理人:
痛いのに歯ぐきの回復からですか?
先生:
そうです。たとえば、他の医院で抜かなければならないと言われた歯でも、歯と歯ぐきのブラッシングを丁寧に指導することで抜かずに回復したという例がたくさんあります。そのときもなぜ、ブラッシングの必要があるのかをしっかり理解していただいて約束どおりにブラッシングしていただくことをお願いします。
今出ている症状の原因を考え、まずその原因を取り除く必要があります。その為に時間がかかる場合もあるということです。
管理人:
なるほど、そんなときでもしっかり説明をしていただければ、納得して治療を受けることができますね。
先生:
あとは、保険診療がその理由となる場合があります。
管理人:
保険ですか!? 保険って治療費だけに関係するのではないのですか?
先生:
治療の種類によっては、一ヶ月の治療回数が制限されている場合があります。ですから、その回数を越えたら、また来月来てくださいということになる場合もあります。
管理人:
えー!本当ですか!? それは聞いたことの無い話ですね。
先生:
患者様に覚えておいていただきたいのは、保険診療の内容がいいとか、悪いとかではなく、色々な制限もあるんですよ、と知っていた方が良いということなのです。
管理人:
なるほどー。まずはしっかり話し合いをしてどれくらいかかるのか、なぜ時間がかかるのかを納得することが大事ですね。
つぎに、治療費の話を伺いたいのですが・・・
管理人:
治療費のこともトラブルになりやすいようですね。料金体系が明確でなく、同じ治療を受けているのに、まったく違う料金だったというトラブルもあるようです。
先生:
同じ治療でも使用する材料などによって料金は変わります。保険が適用できるものもありますし、できないものもあります。この場合は治療費に差が出ます。ですが、通常は両者の違いをしっかり説明し料金についても説明されるはずで、何の説明も無く料金が違うというのは問題がありますね。
管理人:
説明があっても、やたらと自費治療をすすめられたという苦情もあるようですが・・・。
先生:
先ほどもいいましたが、保険、自費はどちらがいいとか、悪いとかではないのです。儲け主義から自費を勧める歯科医は論外ですが、自費にしかできない治療があるのも確かです。結局は選択肢の一つとして患者様に選んでいただけるようにしっかりと説明をするということに尽きると思います。
また、保険の仕組みに左右されずに本当に必要な治療や予防をおこなえるように自費診療のみを選択する歯科もあります。
≪保険のことがたくさん出てきましたので、さまざまな方の意見をまとめておきました。こちらを参考にしてください≫
管理人:
いろいろ伺っていると、いくつかのポイントが見えてきたように思います。まず大事なのは、先生とよく話をするということですね。言い換えれば、話をしてくれない先生はだめだということになります。
また、私たち患者自身も反省する点があります。やはり自分の体のことですから、ある程度の勉強や日頃から予防を心がけて歯ブラシをしっかりするなども必要ですね。
次は、あえて先生に聞きます。『よい歯医者さんの見分け方』を教えてください。
管理人:
先生ならどんな歯医者さんにかかりたいですか?
先生:
「わたし・・・!(笑)」と言いたいところですが、いくつか判断基準になりそうなことをお話します。
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初診時や予約時の受付の態度が明るくしっかりしている。
これは、社員教育の体制ができているということですから医院選びの一つの目安になりますね。 -
医院内が清潔に保たれている
診察台の周りにいろいろなものがあるのは問題です。治療はデリケートな作業が多いので、余分な器材があると作業はしにくいですね。 -
治療前の説明がていねい
先ほどから話していますが、まずはしっかり説明をしてくれるかどうかです。特に診察台でなく、説明の場所があることが大切です。 -
歯科衛生士から予防の為の指導がある
普段からの予防がしっかりしていれば、治療時間も短くてすみますし、料金も安く済みます。予防に力を入れているというのは、安く短くよい治療をしたいと思っているということです。 -
研修会・勉強会に積極的に参加している
自らの技術や知識を積極的に向上させようという歯科医は信頼できますね。事前に見分けるのは難しいですが、ホームページなどで確認してみてはいかがでしょうか。こんなところでしょうか?
管理人:
・・・先生。失礼覚悟で言わせていただきますが・・・「あたりまえのこと」が多いですね。
先生:
いいところに気がつきましたね。そうです。「あたりまえのことをあたりまえにする。」これが一番大事ですよ。
管理人:
大変勉強になりました。細かい部分に関しては、ぜひ、先生に歯科コラムを書いていただきたいと思います。お忙しい中ありがとうございました。
先生:
どういたしまして。こちらこそ、ありがとうございました。
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先生の生の声、いかがでしたか。これらを踏まえたうえで「でんこみ.netの役割」を明確にします。