歯を中心に据えた生き方「歯道」

 みなさん『道』と書きますと、どんな道を想像しますか? 坂道や曲がりくねった道など実際の道を想像するかもしれません。ここでお話したい『道』は茶道、華道、柔道、剣道などにつかわれる『道』です。
  ふつう茶道、華道、柔道、剣道というと習い事のイメージですね。本来『○○道』といったら、そこで学んだ考え方を中心に据えて生きていく『生き方』を考えるものだそうです。

 

 習い事を始めると最初に教わるのは『型』です。『型』が身につくまで何度も何度も練習をします。これがいやでやめてしまう人も多いですね。ですが『道』において『型』は、次のような言葉も残されている位重要視されているのです。

  • 型より入りて、心へ至る
     繰り返し型を練習すると、なぜ、その型が必要なのか、その型を用いるときどのように考えればよいのかがわかり、心構えができるという意味。

  • 型より入りて、型より出ずる
     型を繰り返し練習して基本を身につけたら、その基本を自分に置き換えて応用することで、あたらしい型ができるという考え方。

  • 心より入りて、型へ至る
     修練の中で心構えをつかんだとき、目的と理由がかみ合い、より型を理解することができるという意味。

 最近ではこの考え方が見直されてきています。ですが、理想論だとも考えてしまいがちですね。
 突然、このページで『道』の話を始めたのには理由があります。相互責任でお互いの責任を果たすという考え方を書きましたが、さらにその先にある考え方として『道』の話をしたかったのです。


 私はごあいさつでも書きましたが歯科医療とは何の関係も無い会社におります。歯科予防に対しても、決して前向きではありませんでした。
 そんな管理人が毎食後、歯を磨くようになった出来事があったのです。

 きっかけは顕微鏡写真でした。このでんこみ.netの準備中に参加した歯医者さんの勉強会でのことです。顕微鏡写真の活用方法があり、実際に私の口の中を顕微鏡で見ることになったのです。
 そのときの衝撃は今でも忘れられません。今まで見たこと無いような微生物がとんでもない数でうごめいているのです。

「な、な、な、なんですかこれは! こんなのが僕の口の中にいるんですかぁ!?」
 思わず大声を出してしまいました。元気に動くニョロニョロたちは、まるで小学校の理科の実験で見たゾウリムシやミジンコのようでした。心拍数は跳ね上がり、なんだかめまいもしてきます。

「これが○○菌でこれは××菌ですね。」
「先生、そんなことはいいです。ぼくは、どうしたらいいんですか?」
 前のめりになっていく自分・・・・・・。

「この○○菌は嫌気性といって空気が嫌いなんです。だから、ブラッシングをして空気と唾液を十分に送り込めば大丈夫ですよ」
「空気を送り込むんですか?」
「そうですよ。歯を磨くのは汚れを落としたりするだけでなく、これらの細菌に空気を送り込んで繁殖を抑えるという役割があるんですよ」

 頭の片隅でランプが点滅したような気がしました。

・悪さをする細菌がいる。弱点は空気だ → 汚れがたまると空気に触れなくなったその細菌が喜ぶ → ますます数が増える → 歯や歯ぐきに悪さを始める

だから

・ブラッシングをする → 歯の汚れを取り除き歯の隙間に空気を送り込む → 空気が嫌いな細菌は元気が無くなる → あのニョロニョロの微生物が減る → 口の中の衛生が保たれる

「なるほど!! 先生、歯を磨きます。磨きますとも。いや、磨かせてください。そうすれば、あのニョロニョロは減るんですね!」
「そうですよ」

 理由と目的が明確になった瞬間でした。以後わたしは毎食後に歯を磨くようになりました。これが先ほどの『型』の話に出てきた「心より出でて型に至る」ということです。
 そして、歯やお口の健康を考えるようになり、食事の捉え方も変わってきました。一つの型を通じて生活や生き方まで変わりつつあるのです。

 でんこみ.netで『道』を例えに出したこと、合点がいきましたか?
 ですから、私は新たに『歯道』という考え方をでんこみ.netの中心に据えたいのです。
 先生方に聞いてみると先生方にも通じる考え方のようです。


ある先生とのお話です。

「歯科医の手の位置や体の傾きを意識したことがありますか? 器具の角度を意識したことがありますか?実は、あのひとつひとつにはちゃーんと意味があるんですよ。体の位置、軸が決まることで物の配置が決まり、患者様との位置関係も決まるのです」
「へぇー? 先生!実はわたし(管理人)茶道をやってるんですが、お茶の先生が同じことを言ってましたよ」
「わたしたちも茶道からヒントを得たものがいっぱいあるんですよ」
「意外なところでつながるもんですねぇ」

 

「それに私たち歯科医は患者様のお口を通じて、全ての健康につながるよう心がけているんです。それこそ、生活習慣についても指導をするんですよ」
「ますます、お茶の先生が行ってたことと一緒です。茶道は一度の出会いを通じてお互いの人生をよりよく生きるよう心がけると聞きました。歯科医療って茶道と非常に近いですね!」

 私は、この先生とお話をさせていただいて『歯道』という言葉が頭に浮かびました。そして、これがでんこみ.netの理念の一つになったのです。

 でんこみ.netには、多くの歯医者さんの情報を載せていこうとは考えていません。実際、でんこみ.netよりもっともっと便利なポータルサイトがたくさんあります。
 でんこみ.netは理念を明確にし、その理念に賛同する歯医者さんの情報を紹介していきたいと思っています。そしてわたしたち患者も勉強していこうと考えています。
 このポータルサイトの目指すものをご理解していただき、いっしょに健康的な生活を目指しましょう。
 以上、管理人でした!

治療の流れ へ